本年度第5回抄読会を以下のとおり開催いたします!
ツイキャス配信日時:平成27年8月23日(日曜日)
■午後20時45分頃 仮配信
■午後21時00分頃 本配信
なお配信時間は90分を予定しております。
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ツイキャス司会進行は、桑原@89089314先生です!
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症例22です。今回も山本@pharmasahiro先生に作成していただきました。以下山本先生のブログより転載です。
[症例 22:厳格な血糖コントロールで合併症は予防できるのでしょうか?]
【仮想症例シナリオ】
あなたは, とある街の薬局薬剤師です.
うだるような暑さがピークを迎えたある日の昼下がりに, 突然薬局の電話がけたたましく鳴り響きました.
「うちの子が糖尿病を発症しちゃったのよ?!まさかうちの子がよ!お医者さんはインスリンをしっかり使って治療しようって言っているけれど、その治療方法で本当にうちの子は大丈夫なのかしら?先生どう思います?!」
電話の主:
日用品の買い物から処方箋調剤まで、長年当薬局を利用する常連さんの一人.
この度,
15歳になる息子さんが1型糖尿病を発症.
医師はインスリンによる厳格治療を提案. しかし電話の主である母親は気が動転しており考えがまとまらない様子.
ご家族,
ご親戚には糖尿病の現病歴・既往歴はなし.
あなたは、1型糖尿病の患者さんにとって, 厳格なインスリン治療がどこまで有益がどうかを調べてみたところ, 一つの古い論文を見つけたので, すぐに読んでみることにしました.
[文献タイトルと出典]
The
effect of intensive treatment of diabetes on the development and progression of
long-term complications in insulin-dependent diabetes mellitus. The Diabetes
Control and Complications Trial Research Group.
N Engl J
Med. 1993 Sep 30;329(14):977-86.
(全文フリーで入手可能)
[使用するワークシート]
ランダム化比較試験を10分で吟味するポイント:
[1型糖尿病の薬物治療、その効果はどうなっている?]
さて今回は1型糖尿病のランドマークスタディDCCTを読んでいきますよ!
1型糖尿病についてはこちらにまとめさせていだきました!
「再考!糖尿病治療 最新エビデンスから治療のあり方を考える」
南山堂 薬局 2014年1月 Vol.65 No.1
是非ご参照ください!
[最近考えていることを少し…]
薬の効果というのは、ある薬剤が薬理学的メカニズムをへて臨床的に知覚しうる現象を生じる臨床効果を引き起こすという一連の因果関係を示しているんですよね。薬剤が原因となって、結果としてアウトカムをもたらす。この因果関係を適切に記述できれば、薬剤効果を規定できるわけなんですね。
まあ当たり前のことなんでしょうか、この因果関係を記述する方法はさまざまあって、そのどれが正しいかは実は明確にはわからないってことも最近よくわかってきました。
薬剤のメカニズムを重視して因果関係を記述するのか、それとも臨床的に知覚しうる現象を重視して因果関係を記述するのか。メカニズムといっても西洋医学的なものから東洋医学的なものまでさまざまですよね。代替医療ともなるとそのメカニズム理論はややオカルトチックですが、正当医療ととんでも医療の明確な線引きも難しいのではないかなぁ、なんてとんでもないことを考えているわけです。
薬理作用や五行説的なメカニズムを重視するのはいわゆる合理主義的な考え方かもしれません。この世の中のあらゆる知覚は疑いうるわけですから、薬剤効果を感じうる近くを重視することよりも、理論的メカニズムを重視したい、そんな立場かもしれません。特定の理論に合理性があれば、薬剤効果を規定し、一般化できるはず、臨床的に知覚しうる現象にばらつきがあるのは、個人差や偶然の作用によるもの…。化学構造式の特性により薬理作用が規定され、それが生体に作用し、生化学的反応を引き起こす。これは実在論的立場とも言えましょう。
一方、臨床的に知覚しうる現象を重視する立場は経験主義的な考え方かもしれません。端的に言えば、メカニズムなどの理論よりも自己の経験のほうを重視し、もっぱらそれによって物事を判断しようとする態度です。薬の作用機序がどうあれ、今現に知覚しうる身体不条理が緩和されたかどうか、まあそんなことのほうが大事だ、という立場で、目に見えない薬理学、生化学的メカニズムをやや否定的にとらえる反実在論的立場かもしれません。
どちらが正しい医療なのか、というよりはこれは立場の問題なのかなぁなんて考えていまいます。ただ、医療に対する思考的立場の違いは社会的問題にもなりうるのかなとも思います。代替え医療はとんでも医療なのでしょうか。鍼治療や漢方医療とホメオパシー、プラセボ効果、がんもどき理論…。それらはみな正当医療とは呼べないのでしょうか。現時点では化学構造式が臨床症状を規定するという現象すら明確に再現できないという現実もあります。
薬剤効果という因果関係の再現性は頻度で比較するより他ない、というのが現時点での僕の結論です。薬によってどうなるか、それを知ることは原理的には不可能です。これは予言という形式だから、薬を投与する時点で明確にどうなるかを知ることはできないわけなんですよね。薬を使うとどうなりうるか、を統計的に推論するよりほかありません。要は再現性の頻度の問題に帰着するというわけです。枚挙的帰納やアブダクションだけで、薬剤効果の因果関係を論じていることでは、とんでも医療と何がどう違うのか、実は明確に線引きできないのですね。
おそらく、薬剤効果についての因果関係に関する再現性の頻度を知るには臨床医学論文を読むしかありません。疫学的アプローチにより、因果関係以外の関連の仕方を極力排除し、統計的思考を導入することによって薬によってどんなアウトカムをもたらしうるのか、その程度を類推することが可能なんですね。まずは論文、やはりここから始めましょう!
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