疾患の概要はこちらが参考になります。http://www.nanbyou.or.jp/entry/2299難病情報センター
引用いたしますと「原因不明の慢性腸管炎症により下痢を主徴とする消化管吸収機能異常を呈する疾患。病理学的特徴により、膠原繊維の蓄積を特徴とするCollagenous colitisと上皮への炎症細胞浸潤を特徴とするlymphocytic
colitisに大別される」原因は今のところ不明な部分が多く、遺伝的素因、腸管感染、自己免疫、胆汁代謝異常などの諸因子が指摘されているが、いずれも仮説の域を出ないとのこと。症状は「頻回の水様性下痢を主症状とし、再燃と寛解を繰り返す。重症例では1日の排便量が5000mlを越えることもあり、動悸などの強い脱水症状を呈することがある。脱水から腎不全を合併した場合には入院治療、時として血液透析が必要となることもある」顕微鏡的大腸炎とPPI使用の関連性が示唆されているようです。しかしながらCollagenous colitis(CC)とPPIの関連性をpubmedで検索しても2012年9月現在、質の高い明確なエビデンスはありませんでした。ただランソプラゾールでは症例報告があるようです。
[Collagenous colitis. Clinicopathological study of 18 cases].
Rev Clin Esp. 2007 Sep;207(8):394-8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17688866
18例の顕微鏡的大腸炎のうち46%にNSAIDsが投与され、42.8%にランソプラゾールが投与され、41.6%が喫煙、30.7%が自己免疫疾患だったということです。NSAIDsやランソプラゾール、自己免疫疾患等が原因であることが示唆されているようですが18例の症例報告だけでは明確には分かりませんね。ただClostridium difficileに関連した難知性下痢のリスクは十分考慮に入れるべきだと思います。→PPIとCDAD(Clostridium difficile -associated disease)リスク
Collagenous colitisと同様の慢性の水様性下痢を呈するが、大腸生検にてcollagen
bandを欠き粘膜上皮内にリンパ球の増加を認める症例はLymphocytic colitis(LC)と呼ばれます。そして、CCとLCを合わせてmicroscopic colitisと総称するようです。
このmicroscopic colitisとPPIの関連性を検討した症例対照研究があります。
Proton pump inhibitor use is associated with an
increased risk for microscopic colitis: a case-control study.
Aliment Pharmacol Ther. 2010 Nov;32(9):1124-1128.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21039674
PPI使用者ではコントロール群に比べて
collagenous colitis [38% vs. 13%, P < 0.001; adjusted OR of 4.5 (95% CI 2.0-9.5)].
NSAIDsでは有意差は出なかったようです。2.3 [0.8–6.5] 同様にベンゾジアゼピン1.2 [0.4–3.7]
collagenous colitis とPPIに関してPubmedで検索しても質の高い研究は2012年9月現在ヒットしません。今後さらなる研究・解析が必要だと思いますが、PPIと下痢症状というリスクはCDADも含め十分認識すべきなのかもしれません。
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