CHADS2スコアとは
心房細動患者における脳卒中発症のリスク評価(JAMA
2001,285;2864-2870)CHF(心不全)HT(高血圧)Age>75(高齢)DM(糖尿病)はそれぞれ1点、
Stroke/TIA(脳卒中/一過性脳虚血発作)は2点で計算し
その合計点をCHADS2スコアといいます。
CHADS2スコアが2点以上の心房細動の患者には、
ワルファリンの使用が強くすすめられています。
N Engl J Med. 2009; 361: 1139-51 RE-LY試験
ダビガトランの有効性・安全性はワーファリンに非劣勢。患者背景のCHADS2スコアを確認するとダビガトラン150mg、110mg、ワーファリンの順で
2.1, 2.2, 2.1。比較的低リスクな患者を対象としている点に注目。
糖尿病ではそれが独立して出血リスクになる可能性があり
JAMA. 2012;307(21):2286-2294よりハイリスク患者でのダビガトラン安全性は
ワーファリンと同等ではないかもしれません。
またCirculation 2011; 123: 2363-72から75歳以上において
ダビガトラン300mg/日投与は大出血リスクがワーファリンを上回ります。
RR 0.62;0.50-0.77,p<0.001
ちなみに220mg/日投与では有意差無しという結果でした。
RR 1.01;0.83-1.23,p=0.89
さらにRE-LY試験単独でも心筋梗塞の上昇が指摘されています。
Arch Intern Med. 2012 Mar
12;172(5):397-402 メタ分析でダビガトランのMI,ACSリスクOR M-H 1.33,95%CI 1.03-1.71。
現時点でCHADS2スコアの高い患者、75歳以上の患者、心筋梗塞既往患者そしてもちろん腎機能が低下した患者にダビガトランは推奨できないというのが個人的な見解です。
一方で最近発売されたリバロキサバンの臨床試験では
N Engl J Med. 2011; 365: 883-891 ROCKET AF リバロキサバンの有効性・安全性はワーファリンに非劣勢。
患者背景の平均CHADS2スコア3.5。
これはRE-LYの対象患者よりハイリスクな患者を対象としています。
ちなみに日本人を対象としたJ-ROKETでも対象患者の平均CHADS2スコア3.25。
ハイリスク患者における安全性はダビガトランより優れている
可能性もあるのではないかと思っています。
(参考)ダビガトランの適正使用を考える
http://blog.livedoor.jp/ebm_info/archives/7000531.html
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